
口腔外科(歯科小手術)
口腔外科(歯科小手術)
当院の口腔外科治療の目標は、「正しい知識・正確な診断・十分な治療計画に基づく適切な手技により、スムーズな治癒を導くこと」です。
超高齢社会になり、一般開業歯科医における口腔外科治療のニーズは高まってきています。当院では、高次医療機関にて対応すべき症例と一般開業医で対応可能な症例の境界線を明確にし、局所麻酔を使用して安全に治療ができる口腔外科治療(歯科小手術)を手がけています。
口腔外科治療は心身に負担がかかるものです。とくに全身疾患をお持ちの方には、より特別な配慮や管理が必要です。当院では、疾患別に適切にリスクマネジメントを行い、患者さんがより安定した状態で治療を受けられるような環境づくりに励んでいます。
口腔外科治療は、炎症と常に対峙しています。炎症は、身体に侵襲が加わった際に治癒に導くための重要な過程ですが、ときに大きく腫れたり、過度に痛みを伴うこともあります。当院では、このような過度な炎症反応を引き起こす要因をできる限り排除し、治癒を促進できるように、良質な医療の提供を心がけています。
口腔外科は、口腔、顎、顔面、ならびにその近くの部位に現れる疾患を対象とする診療科ですが、「歯科小手術」は、口腔外科治療のうち全身麻酔ではなく局所麻酔や鎮静剤を使用して治療できるものを指します。
歯科小手術には、普通抜歯・難抜歯、埋伏智歯抜歯(親知らずの抜歯)、膿瘍切開、顎骨嚢胞摘出、粘液嚢胞摘出、小帯切除、歯根端切除術、口蓋隆起・下顎隆起形成術などが含まれます。
親知らずが気になる、顎が開かない、口の中が痛い、膿がたまっているなど、気になることがございましたらお気軽にご相談ください。
全身状態を含めて、口腔内を診査し診断します。
歯科小手術では、安全に治療を行うために全身状態の確認は重要です。循環器疾患(高血圧、心疾患、脳血管疾患など)や糖尿病、悪性腫瘍、膠原病などの既往がある方、血液さらさらのお薬(抗凝固薬、抗血小板薬)や骨粗しょう症のお薬(BP製剤やデノスマブ製剤)を使用されている方、アレルギーをお持ちの方は、必ずお伝えください。
治療を行う前に、予定している歯科小手術についてできる限りわかりやすく丁寧な説明を行います。患者さんは、疑問があればしっかり解消し、納得した上で、治療方針に同意することが大切です。説明内容について気になる点やご不明な点がございましたら、なんでもご相談ください。
歯科小手術を行う際に麻酔は必要ですが、麻酔をする時の痛みは不快なものです。当院は麻酔の基本的事項を遵守し、痛みの少ない麻酔を行います。
表面麻酔とは、粘膜に麻酔薬を塗り、麻酔針を入れる予定の場所に数分間しっかり作用させることで、針の痛みを感じさせないようにする麻酔の方法です。安心して治療を受けていただけるように、効果的で痛みの少ない麻酔を行っております。
「切開」は歯科小手術の重要なスタート地点であり、手術の結果に大きく関わります。手術の計画を立てる際は、術野のサイズを考慮しイメージを持ちながら切開線を決定します。実際の切開では、どれくらい綺麗に切れるかが治癒の過程に影響しますので、慎重に切開を行います。
「縫合」とは、切開によって開いた部分を、縫合糸でもう一度密着させることをいいます。縫合のときのポイントは、糸を結ぶ強さと、結ぶ量です。縫合が強すぎたり必要以上に縫合しすぎたりすると、綺麗な治癒になりません。綺麗な治癒を導くためには、最小限の力と量で、切開したところを密着させることが大切です。
「抜歯術」とは、歯ぐきに植わっていたり骨の中に埋まっていたりする歯を取り除く手術のことで、歯科小手術のなかで最も多い処置です。安全に抜歯を行うためには、歯の形や位置、顎の骨の状態、神経や血管の位置をしっかり理解して、適切な器具を選び、正しい手順で行うことが大切です。当院は、CTを完備しており、詳細に診査を行うことができる環境を整えております。
また、抜歯を行う際は、口腔内の状態だけでなく全身の健康状態も考慮して、どの方法が適しているかを判断する必要があります。有病者における抜歯は、疾患別のリスクマネジメントにより適切に対応します。
そもそも抜歯は、歯にとって最後の治療手段です。抜歯によってその歯の問題は解決しますが、歯を失うことで咀嚼や発音、見た目に大きな影響が出ることがあります。だからこそ、抜歯の必要性は慎重に考えるべきです。
以下に一般的な抜歯の適応症を挙げます。
抗がん剤や免疫抑制剤の使用により免疫力が下がることが予想される場合は、感染の原因になりそうな歯をあらかじめ治療または抜歯しておくべきです。
骨粗しょう症やがんの治療でビスホスホネート製剤や抗RANKL抗体製剤、血管新生阻害薬を使う予定の患者さんは、薬を始めた後に抜歯すると顎骨壊死のリスクが高まる可能性があります。このような場合も感染源になりそうな歯は事前に治療するか、抜歯しておくことが大切です。
抜歯は、抜去される歯とその周りの組織の状態によっては行えないことがあります。また、歯自体が抜歯適応であっても、患者さんの全身的な健康状態によっては、抜歯を行えない場合もあり、これらをまとめて抜歯の禁忌症と呼びます。
抜歯の禁忌症には、絶対に抜歯してはいけない絶対的禁忌症と、条件次第で抜歯可能な相対的禁忌症があります。最近の医学の進歩により、以前は絶対的禁忌症とされていたものが、相対的禁忌症として扱われることが増えています。さらに、超高齢社会の到来によって、さまざまな全身疾患を持つ患者さんの抜歯を行う機会も増えており、これらの疾患についての知識は必要です。
有病者の外科治療を行う際には、必要に応じて主治医と連携し診療情報を事前に確認します。また、緊張や痛みといったストレスをできるだけ軽減し、心身ともに安定した状態で治療を受けていただけるように、環境を整えます。
当院のスタッフは、各疾患に応じた抜歯時のトラブルを理解しており、事前に予防策を講じたり、合併症に対応する準備を整えていますので、安心して抜歯を受けていただけると考えております。お口の中で気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。