口腔内の細菌とバイオフィルムの関係—むし歯を防ぐためにできること
私たちの体には、実は自身の細胞よりも多くの細菌が存在しています。特に口腔内には約1,000種類もの細菌が住みつき、「細菌叢(マイクロバイオーム)」と呼ばれる集団を形成し、独自の生態系のバランスを保ちながら共存しています。
この細菌たちは、歯の表面に「バイオフィルム(プラーク)」と呼ばれる膜を作ります。バイオフィルム(プラーク)は、むし歯や歯周病の主な原因となるだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼすことが分かっています。
🦷むし歯の発症メカニズムとは?🦷
むし歯が発症する背景には、細菌の代謝活動が深く関係しています。
私たちが糖を摂取すると、バイオフィルム(プラーク)内の細菌がそれを代謝し、酸を産生します。この酸が歯の表面にダメージを与えるだけでなく、細菌自身にとってもストレスとなり、口腔内の環境がよりpH低下しやすい状態に変化します。その結果、酸に強い細菌が増殖し、生態系のバランスが崩れ、むし歯が進行してしまうのです。
🦷むし歯を防ぐためのカギ—バイオフィルム(プラーク)へのアプローチ🦷
バイオフィルム(プラーク)がむし歯の土壌になる以上、適切な口腔清掃を行うことで、この環境を改善し、むし歯のリスクを根本から減らすことが可能です。
当院では、カリエスコントロール(むし歯予防)の第一歩として、バイオフィルム(プラーク)へのアプローチを重要視しています。患者の皆さんにバイオフィルム(プラーク)の知識を提供し、口腔清掃の改善をサポートすることで、健康な口腔環境を維持することを目指しています。
今日からできる口腔ケアを取り入れ、細菌叢(マイクロバイオーム)のバランスを守りながら、むし歯の発症を防ぎましょう😊✨
【参考書籍】
伊藤直人 著「カリエスブック 5ステップで結果が出るう蝕と酸蝕を予防するカリオロジーに基づいた患者教育」医歯薬出版