萌出したばかりの歯はむし歯になりやすい?その理由とは!
新しく生えてきた永久歯や、歯茎から露出したばかりの歯の根元(歯根面)は、特にむし歯になりやすい時期です。その理由は、単にバイオフィルム(プラーク、細菌の集合体)が付きやすいからだけではありません。
生えたばかりの歯が弱い理由
生えたばかりの歯では、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトの結晶が小さいため、酸に弱く脱灰しやすい状態にあります。さらに、不純物が含まれていることで、むし歯リスクが高くなっています。
しかし、時間が経つと唾液中のミネラルイオンによって、結晶が成長し、脱灰と再石灰化を繰り返しながら“萌出後成熟”をしていきます。この過程で歯の強度が増し、フッ素を取り込みながら酸への抵抗力が高まります。そのため、20歳を過ぎる頃には、歯の表面(歯冠部エナメル質)の初期むし歯はほとんどできなくなるのです。
露出したばかりの歯根面はさらに注意!
歯茎から歯根面が露出したばかりの時期も、むし歯リスクが高いです。その理由は、象牙質の性質にあります。
象牙質はエナメル質よりも結晶が小さく、不純物を多く含むため、酸の影響を受けやすい!
その結果、むし歯ができやすく、進行も早い!
歯根面が露出したばかりのタイミングでは、特にむし歯予防に気を配ることが大切です!
こんな歯は特に注意!
お口の中で露出したばかりの歯は、特にむし歯のリスクが高いので注意しましょう。
生えたばかりの乳歯
生えたばかりの永久歯(幼若永久歯)
歯周病治療や歯の移動によって露出したばかりの歯根面
萌出・露出後の3年間は特に要注意!
歯は時間とともに成熟し、酸への抵抗力を高めていきます。
そのため、萌出・露出してからの3年間は特にむし歯予防を意識することが大切です!
フッ化物を活用した歯磨きを習慣にする!
歯磨きの際は丁寧に磨き、バイオフィルムをしっかり除去!
定期的な歯科検診を受け、むし歯リスクをチェック!
生えたばかりの歯をしっかり守り、健康な口腔環境を維持しましょう
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【参考書籍】
伊藤直人 著「カリエスブック 5ステップで結果が出るう蝕と酸蝕を予防するカリオロジーに基づいた患者教育」医歯薬出版